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2010年3月29日 (月)

懺悔

昔の歌が聴きたくなって、サトさんにサザンのバラッドを買ってきてもらった。

カーステできいていたら、懐かしい思い出とともに目に浮かんできたのは、中学生の頃に飼っていた犬のクロ。

青森の市場で生まれた雑種の子犬。

ある日、我が家にやってきた。

プードルのように毛がカールしていて、ダックスのように足が短かった、真っ黒のクロ。

ぬいぐるみみたいに可愛くて、兄弟4人でめちゃめちゃいじった。

うちに犬が来たんだよ。可愛いよ!

友達にも自慢した。

散歩にも連れて行った。

けれど、クロの歩きはとても遅くて、テレビや漫画のようにスタスタ歩けない。

・・・

そんな散歩は、つまらなかった。


クロは愛想が良くて吠えなかった。

でも、いろんな物を噛んだりして行儀が悪かった。

誰もしつけの知識がなかった。

段々、私はクロに構わなくなった。

散歩にも行かなくなった。

クロは、玄関の脇の犬小屋につながれた。

父は企業戦士で、母も4人の子育てに忙しく、そのうち母以外はクロの世話をしなくなった。

洗ってあげなくなって、クロは臭くなってきた。

毛づやも悪くなった。

クロは、タダでさえ低い体高をぺちゃんこに低くして、

黒いぞうきんのようになって、犬小屋で寝ていた。

ある晩、母は「クロ、一人で散歩しておいで」と、クロを放した。

クロは、一人で散歩をして、帰ってきた。

ああ、クロは一人で散歩ができるんだ。

家族は思ってしまった。

でも、ある日、

クロは、どこかの家からサンダルを片方盗んできた。

次の日も、

どこかから、履き物を片方盗んできた。

とんでもない犬!

クロの散歩は、封印された。

そしてある日、

我が家は遠くに引っ越すことになった。

クロも当然一緒に来るだろうと思った。

引っ越し前には、さすがに洗ってあげなくちゃ。

けれど、引っ越しの準備に忙しくて、忘れていた。

引っ越しの当日、お父さんの車に家族全員乗り込んだ。

あれ?クロはどうしたの?

・・・

お母さんも、お父さんも、黙ったまま。

クロも一緒に行くんだよね。

クロは、連れて行けないの。

え?じゃあ、クロはどうなるの?

お父さんがね、連れていった。

え?新しい飼い主さんが決まったの?

そうじゃなくて。

え?

お父さんが、保健所に連れていった。

え?

え?いつ?

今朝。

・・・

予期しない展開に、言葉がなかった。

泣いても泣いても、遅かった。

車は、引っ越し先に向かってどんどん走っている。

クロ、クロ。

お父さんも、お母さんも、ひどい!

・・・

連れていけないんだもの。

仕方なかったの・・・。


クロは、いったい我が家にどれだけ居たんだろう。

半年くらい?8ヶ月くらい?

おそらく1年はいなかった。

だから、クロの生涯も、とても短かったんだ。

1才の誕生日を祝った記憶もない。


当時、犬に人間と同じ感情があるとは、知らなかった。

しつけの知識もなかった。

けれど、

あまりにも可哀想だった、クロ。


ごめんね。ごめんね。

クロという命があったこと、忘れてないよ。

忘れないよ。

いつも心の中にひっかかっていた、クロの記憶。

懐かしいサザンの曲が、悲しくて最後まできけなかった。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

辛いですね・・・。
犬のことを知れば知るほど辛い過去になってしまいますよね。
本当に知らないって怖いです。
mikatyさんにとってずっと忘れられないでしょうね。
でも、天国でクロがそんなmikatyさんを見て、やっと安らかになれたのではないでしょうか?
クロが今天国で微笑んでmikatyさんを見てるような、そんな気が私はします。

RIKUママさんnote
>本当に知らないって怖いです。

そうなんです。:゚(。ノω\。)゚・。
犬と一つ屋根の下で暮らし始めて、森田流でしつけや犬のこと全般を良くわかるようになったいま、改めてクロに出会えたら、と思えてなりません。
クロのことを忘れないでいることが、本当にクロに届いてくれたら。。。
クロを抱きしめてあげたいです。

先日、PCの動画で偶然にも「犬の殺処分」を見ました!あまりのむごさに暫くの間、涙が止まりませんでした!人間によって捨てられた犬たちが人間によって処分される・・・人間の勝手なエゴに腹立たしさも感じました。
私も、太郎を飼ってみてこう言う現実があることを知りました。
mikatyさんが飼われていた「クロ」もその時は
そうするしか手段がなかったのでしょうね!
でも、何年も経った今mikatyさんに思い出してもらったことで天国の何処かでやっと安心出来たのではないでしょうか?今は笑ってますよ・・・きっと!!
「よかったね!クロ・・・これからはmikatyさんやかん太君たちを見守ってあげてね」
と・・・願わずにはいられない私です!
そして、1日も早く処分されるワンがいなくなることも願いたいと思いました。

クロの記憶,私は姉ほど残っていないのです。。。

私が幼稚園のときに我が家に来た,ウサギのミーとケイは,それぞれ茶色い紙袋に入って,私の手に「はい」と渡されたから,自分のウサギだと思って一生懸命お世話をしたの。
最初にケイが夜のうちに居間で死んでいて,ミーも具合が悪くなって,のびてしまって,呼吸が荒くなってしまったとき,私のベッドに連れて行って,一緒に布団に寝て,「死なないで,死なないで。」ってただただ祈るように呼びかけたこと,それは覚えてる。

クロは,それほど,自分の犬,という思いが少なかったかも,と申し訳なく振り返りました。

来たばっかりの時は家がつやつやのかわいい子犬だったね。
だんだん大きくなって,番犬として玄関のわきに置かれるようになってから,
洗ってあげたくても,洗ってあげる場所もないし,
洗い方もわからなかったし,怖かったし,
近づくことすらできませんでした。

父がクロと散歩をしている映像は私の記憶に残っているけど,仕事が忙し過ぎたから,ほとんど構うことができなかったね。
母は生き物を飼うのがもともと好きではなかったし。

父が好きな猫を飼っていたら,猫だったら,自分で自分のことを何とかするから,もしかしたらもっと長生きしていたかもしれないね。
犬は,手をかけないと自分の体も綺麗にできないんだと子供心に思ったものです。
どう手をかけていいのかまごまごしているうちに,怖い存在になってしまったように思いました。

セキセイインコのペコちゃんもそう,ウサギもそう。
生き物はいつか死ぬけど,かわいいと思う気持ちだけでは
天寿をまっとうさせてあげられないことを私たち家族はほんとに何度教えられたかわからないね。
クロには本当にかわいそうなことをしてしまったね・・・。

小太郎君に出合い直して,かん太君に出合って,そして森田式に出合えたことで
mikaty姉はクロまで戻れたんだと思う。

私も懺悔します。
クロ,ごめんね・・・。
ちゃんと,向き合って,大事にしてあげなくてごめんね。
怖かったね。
さみしかったね。
残念だったよね。

私たち,クロを忘れないよ。
ペコちゃんも,ミーも,ケイも,うーちゃんも,白い金魚も,たらいのカメも,忘れないよ。

mikaty姉,大事なことを思い出させてくれて,ありがとう!

mikatyさん

胸が痛くなり、涙がでてきました。
私も小さい時に飼っていた動物たち。。。幸せにできていたか自信がありません。
後悔の気持ちがたくさんあります。

でも、mikatyさんのように、気付けた事。それが一番大事な気がします。きっと、天国のクロも見守ってくれていると思いますよ。

私も、今を精いっぱい頑張らなくちゃ!!

太郎ママさんnote
殺処分の動画、私も去年の動物愛護週間のときに初めて見て、衝撃でした。特に、自分たちの行く末を悟った犬たちの、あの眼・・・。
ほぼ全ての犬は、飼う人間に原因があるのに自らの命で償わされている現実を、私も含めてもっと沢山の人が正視すべきなのだと思います。
そして、適切なタイミングで正しくしつけて愛情を注いで暮らせば、犬は手放せない相棒になっていくと、みんなに知ってほしい。
クロだって、ちゃんとしつければ兄弟の一人のような存在になったのに、当時の我が家は全員が本当に無知でした。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。

きいろちゃんnote
当時はまだきいろちゃんは小学生だったし、それにクロは家の中で飼っていた動物と違って外につながれていたから、あまり覚えていなくても仕方ないよ。
ウサギやインコは、きいろちゃんは本当に良く世話をしてたね。ウサギとインコは、精一杯の愛情を注いで育てたから、結果として長生きはできなかったけど、家族になった気がした。
でもクロは、家族になりきれなかった。犬という動物について、私たちはあまりにも知らなすぎたよね。
クロ、今ならわかるよ、お前の気持ち。
全然気づいてあげられなくて、ごめんね。
酷い飼い主で、ごめんね。

黒プーのクー さんnote
そうですね。30年もかかってしまいましたが、クロに対して私たちがどうすれば違う展開になっていたのか、気づけたことはありがたいです。
それも、やんちゃなかん太が家に来てくれたからこそですね。一時は、もう一緒に暮らすのは無理かと思うほど暴れものになってしまった、かん太。今はすっかり家族の一員です。
今を精一杯やることがクロの供養にもなるなら、あらゆる縁に感謝して、精一杯かん太と向き合いたいですheart02

すいません。たびたび・・・。
mikatyさん姉妹がクロに対して懺悔する気持ち。
二人が今なぜクロに懺悔するのか・・・。
なぜ小太郎くんや、かん太くんと出会って、森田流に出会ったのか・・・。

全部クロの導きなのでは・・・???

だとしたら、クロは二人を見守っているとしか考えられないです。
クロってスゴイワンコなのではsign03

RIKUママさんnote
>全部クロの導きなのでは・・・???

そうかもしれないですぅ・゜・(/Д`)・゜・。
クロという存在があったからこそ、小太郎を家に迎えるときに「責任をもってしっかり世話をするぞ」という覚悟を決めることができたし、小太郎が犬と暮らす幸せを教えてくれたからこそ、かん太のしつけの日々も乗り越えてこれたのに、違いないです。

30年前のクロとの出会いが、今につながっているのですねshine
クロに感謝ですねheart02

いつも読み逃げばかりですいません。

辛い記憶ですね。
胸をえぐられる様なお気持ちで書かれたのだろうと
お察し致します。

私も森田流を知った時、真っ先に思い出したのは
可愛がっていたと自負していた過去の愛犬達でした。
例え天寿を全うさせてあげられても
幸せでなかったであろう時間が長かった分 
懺悔する事も多く、後悔だらけです。

どんなに辛い結果になっても
人生に無駄な出会いは一つもないと言います。
私も、今の愛犬と奮闘できた原動力は
過去の愛犬達への悔いだったと思っています。

クロちゃんも今きっと、
mikatyさんとかん太クンを
精一杯励ましてくれていますよ♪

のんちゃん☆note
温かいメッセージ、ありがとうございましたconfidentheart02
どこにも持って行き場のなかった私の気持ちを、RIKUママさん、太郎ママさん、黒プーのクーさん、きいろちゃん、そしてのんちゃん☆に受け止めていただき、おかげで随分心が救われました。
クロには本当に可哀想な運命を辿らせてしまったけれど、クロは私の中に生きていて、クロの存在が今のかん太との生活につながっている。そう思えたことで、私の心の中に、クロの居場所ができました。

人生に無駄な出会いは一つもないって、本当ですね。
わんこ倶楽部でみんなに出会えて良かった。
クロに出会えて良かった。
かん太に出会えて良かった。
のんちゃん☆、沢山の出会いの原動力になってくれて、ありがとうheart02

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