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2013年8月16日 (金)

お盆に思う~ご近所さんとのお別れ

今年のお盆も今日が最終日。
我が家の近所では、
13日にしきびとほおずきを飾って盆提灯を灯し、
15日にほおずきを色花に代え、
16日はお墓にお参りしない

オオ母さんが生きていたときは、何でもオオ母さんにまかせっきりで、
13日のお参りしかしなかった、私。

オオ母さんが亡くなった最初のお盆は、途方に暮れた。
お盆のお作法が、皆目わからなかった。
近所のおばさんや住職さんに聞いて、ようやくお盆を迎えたっけ。

今回は、オオ母さんが亡くなって、3回目のお盆。
ようやく私も段取りに慣れてきた。
でも、
今年は、お盆の準備のとき、ちょっと寂しかった。

それは、
去年、一昨年と、準備の手際が悪い私を気遣って、何かと
助けてくれた近所の個人商店が、お店を閉じてしまったから。

思い起こせば、オオ母さんが我が家での同居を決めた理由の
一つが、その商店の存在だった。

歩いてすぐの場所にあって、生鮮食品も加工食品も手作りお総菜も
扱っていた、そのお店。

きりもりするご夫婦がきさくな人柄で、「今日は、この魚が特に良いよ」
「珍しいさつま揚げが入ったよ」「この納豆、ちょっと高いけどめちゃくちゃ
美味しいよ」

行くたびにその日のお勧めをさりげなく宣伝してくれた。

「ちょっとおまけしとくね」
「このごろ顔見なかったけど、大丈夫だったかん?」
「こないだのごぼう、どうだった?」
「きゃべつ一個じゃ多いだらあで、半分に切ってあげるわ」
「まあ、にんにく、この古いやつが1個あるだけなんだわ。
これで間にあうなら、持ってって」

時には、古い品物があったりもした。
最初はめんくらったけれど、
お客も心得たもので、店に悪意がないとわかっているから、直接言っちゃう。
「昨日買ったおナスね、4個のうち、1個いたんどったよ」
「ウィンナ、賞味期限切れとったわ」

お店の側も、お客を信用して、気持ちよく対応してくれた。
「あれ、ごめん、ごめん。そのウィンナまだあるかん?もってきておくれ
たら、新しいのと代えるでね。」
「おナス、あかんかったね。ごめんね。今日、これ持っていって」

オオ母さんが倒れて寝たきりになったときは、近所の人が来て教えて
くれた。

「あんた、お母さんの食事、3度3度は大変だらあで、あそこのお店に
手伝ってもらいん。うちのお父さんが倒れた時もお願いしたけど、
気持ちよく手を貸してくれるで。」
「お総菜、作ってもらいんよ。味つけをせんでねとか、オリーブオイル
でさっと焼くだけでいいでとか、何でも要望に応えてくれて、しかも
持ってきておくれるで」

本当だった。

「お宅のお母さん、倒れて大変だってね。何でもやらしてもらうで、遠慮
なく言ってね」と、
こちらから頼むより先に、言ってくれた。

3つに仕切ったトレイに、3-4種類のお総菜を入れて、1食500円。
無料で届けてくれるという。

「お母さん、何が好き?」
「お刺身が食べたいって?よっしゃ、美味しいの、入れてあげるね」

食が細くなっていたから逆にいろんなものを楽しんで食べてもらいたいと、
自分なりに工夫してはいたけど、毎日毎食、見た目も食感も違うもの
を出すのは、本当のところ大変で、普段自分がいかにルーチーンで
同じ食材を回していたかと途方にくれていた時だっただけに、
この申し出はありがたかった。

それから、1日1回、お夕食の総菜を届けてもらった。
強めの出汁でごくごく薄味に仕立てた煮物が色どりよく入って、お肉か
お魚もついて、熱い物は熱いうちに届けてくれた。

あるとき、大ぶりに切ったかつおの叩きが3切れ、メインで入っていた。
それを見たオオ母さんの嬉しそうだったこと。
大きな切り身を3つとも平らげて、「美味しかった」と笑った。

翌日お店で、「昨日はありがとう」と話すと、
「よかったなあ!今日はどうする?毎日刺身じゃ飽きるだらあで、
お肉にするかん?そんでまた明日、美味しいお刺身、入れてあげる」

こんなお店、他にないと思った。

時は下って、つい2-3カ月前にもこんなことがあった。
かん太の散歩のとき、私としたことが、家のカギを落としちゃったのだ。
ひと回りして帰ってきたら、ポケットに入れたはずのカギがない!
あれ?!どこで落としたんだ?!あれれ?!

全部のポケットをひっくり返しても、出てこない。
うわ、どうしよう。

1時間かけてまわった道のり、もう1回歩き直すか?
それでも見つからなかったら、どうする?

頭の中は大混乱。
かん太、もう1周つきあう余力ある?いや、玄関前で1時間くらい待てる?
かん太、目をパチクリ。

とりあえず、家の前からと、側溝付近を念入りに見ながら行ったり来たりして
いると。。。

「おーい!!」と呼ぶ声が。
え?
「こっちでーす」
は?
「こっちでーす」
え?私??

向こうから大きな声を出しながら走ってきてくれたのは、あの商店の
おじさん。
「もしかして、カギ、探してるんじゃない?」
「え・・・そうですが?」
「オレンジ色のキーケースに入ってる?」
「そうですが・・・」
「じゃあ、やっぱりそうだ。うちで預かってるから、来て」
「は・・・い?」

行ってみると、本当に私のキーケースだった。

「うちのお得意さんがね、この辺で拾ったって、持ってきてくれてね。
何か、犬を連れてる女性で、走って追いかけたけど見失ったって。
聞いたら、小さい黒い犬だっていうから、お宅じゃないかと思ってね、
帰ってきたらつかまえてあげようと思って、ちょくちょく外に出て、
待ってたんだわ」

ひゃ、1時間も?
「そのくらいかな。まあこっちも、預かった手前、責任があるでね。
気が気じゃないで」

ありがとうございましたーーー(T∇T)

拾って下さった方にお礼がしたいんですが。。。
「あの人はタバコを吸わっせるから、タバコで良いと思うよ。沢山だと
かえって気をつかわっせるで、1箱で気持ちは伝わると思うけど」

いやいや、何とか、2箱でお願いします。
「了解、了解。今度来たら、確実にお渡ししますでね」

  ・ ・ ・

結局、カギを拾って下さった方が、近所のどなたかはわからないまま。
でも、本当に助かった。

地域の商店がとりもつ、それぞれの家の暮らしと安全と防犯。
それを体現したようなお店だった。

地域の人はみんな、辞めないでおくれんと止めたけど、「寄る年並み
には勝てない」と、閉店。

聞くと、地域の催しもののお弁当作りなども引き受けていて、ここ何年も
無休で働いていたんだとか。定休日でシャッターを閉めていても、
中ではフル回転で仕事をしていて、夫婦そろっての休みはないのが
当たり前。
いつか体調を壊して注文に穴をあけたら、みんなに迷惑がかかると、
精神的にも肉体的にもきつかったと、おじさん。

そう言われたら、無理に引きとめられんでね。
商店が無くなるのは、本当に寂しいし不便だし、がっかりだけど、
新しいご近所さんで、自分たちの時間をじっくり楽しんでね。


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コメント

残念~~~。
素敵なお店だったね・・・。
私,退職したらこういうお店やろうかな,と思っちゃった。

きいろちゃんnote
店主夫婦は大変だったと思うけど、地域にとっては
大事なお店だったのよー。
スーパーではこうはいかないもんね。
>私,退職したらこういうお店やろうかな,と思っちゃった。
うふふ、できたら良いねwinkheart04

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